SynologyのDS220+、DS420+、DS720+、DS920+の2ベイと4ベイのDS+シリーズが4機種の後継機が5月20日に発売されました。DS+シリーズ4種のスペックについて比較していますので、購入時の参考にしてみてください。
また過去にSynologyのエントリーモデルであるDS220jについてレビューしていますので、安価なエントリーモデルのNASに興味がある方はこちらも要チェックです。
DS+シリーズとは?
Synology NASは7つの異なるクラスのシリーズを展開しています。各クラスは、購入者の予算や必要スペックに合わせて最適なNASを選択できるように設定されています。
NASの型番は3桁で、一番上の位がドライブベイ数、下二桁が西暦の下二桁となります。ドライブベイ数は拡張ベイ込みの数字となっており、「DS920+」は4ベイ+拡張5ベイで合計9ベイ扱いとなり、「9」となります。
グレードとしては安価な物(低スペック)から高価な物(高スペック)までJ、VALUE、PLAY、PLUS、XS+/XS、DS、FSと並んでいます。エンタープライズ向け3機種(XS+/XS、DS、FS)を除くと、PLUSは最上位のフラッグシップ機となり、様々な機能が詰め込まれた製品シリーズとなります。
Synology DS+シリーズは、Synologyが提供する殆どすべての機能を実行でき、さらに一部の機種では1年の追加保証(合計3年保証)が付きます。
ハード・ソフトウェアとしてはインテルx86 CPUと最小メモリ2GBおよび最大メモリ8GB、2つのLANポート、アップロードおよびダウンロード速度の向上、ロック可能なHDDトレイ、Synology DSM NASソフトウェア(synologyオペレーティングシステム)およびすべてのホームアプリケーションとビジネスアプリケーションへのフルアクセス、BTRFSなどのファイルシステムを提供しています。
上記の加えて、仮想マシンの使用、トランスコーディングを含むFullHD Plex Media Server、最大2つの4Kメディアストリームのネイティブなトランスコーディング、最大40台のIPカメラの監視カメラの使用、Synology Office、チャット、Docker、電子メールサーバー、マルチメディアアプリケーションなどの家庭用およびオフィス用アプリケーションが使用できます。
またストレージは暗号化することができ、AES-NI 256bitの暗号化で暗号化できます。PLUSシリーズは上位機種としてこれらのほとんどすべてを同時に実行でき、処理できるハードウェアスペックを持っています。
DS+シリーズのスペック比較
シリーズ内での違いとしては主に以下の内容になります。
- CPUの性能とメモリ容量
- ドライブベイ・ファンの個数とRAID方式
- SSDキャッシュ機能有無
- 外部ポートのeSATA有無(拡張ベイの使用可否)
- 仮想化機能有無
- 共同作業ツール最大ユーザー数
- 共有フォルダ数
- IPカメラ最大接続数
また前機種の「DS218+」や「DS720+」などから「DS220+」、「DS420+」のCPUはApollo LakeのCeleron J3355からGemini Lake RefreshのCeleron J4025に、「DS720+」、「DS920+」はCeleron J3455からCeleron J4125へと更新されました。
Celeron J4025は2コア、Celeron J4125は4コアと1.5倍程度の能力差があり、またメモリも「DS920+」は4GB搭載しています。高性能な機種を選定する必要がある場合は参考にしてください。
型番 | DS220+ | DS720+ | DS420+ | DS920+ |
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メーカー | Synology | |||
価格 | 39,900円 | 53,900円 | 58,900円 | 66,900円 |
発売日 | 2020年5月20日 | |||
CPU | Intel Celeron J4025 2.0GHz Dual-Core | Intel Celeron J4125 2.0GHz Quad-Core | Intel Celeron J4025 2.0GHz Dual-Core | Intel Celeron J4125 2.0GHz Quad-Core |
メモリ | 2GB DDR4 | 4GB DDR4 | ||
最大メモリ | 6GB | 8GB | ||
ドライブ ベイ | 2 | 4 | ||
ファイルシステム | Btrfs / EXT4 | |||
対応RAID | Hybrid RAID / Basic / JBOD / 0 / 1 | Hybrid RAID / Basic / JBOD / 0 / 1 / 5 / 6 / 10 | ||
互換性のあるドライブ タイプ | x 3.5" または 2.5" SATA HDD/SSD | |||
ホットスワップ | 対応 | |||
SSDキャッシュ | - | 対応 | ||
ハードウェア暗号化 | あり (AES-NI) | |||
read性能 | 225.98 | 225.99 | 226 | 225.99 |
write性能 | 192.21 | 195.42 | 225.74 | 225.9 |
read性能(暗号化) | 225.99 | 225.99 | 226 | 225.99 |
write性能(暗号化) | 195.2 | 200.16 | 224.47 | 225.91 |
NIC | 2(1GbE) | |||
外部ポート | USB 3.0 ポート x 2 | USB 3.0 ポート x 2 eSATA ポート x 1 | USB 3.0 ポート x 2 | USB 3.0 ポート x 2 eSATA ポート x 1 |
システムファン | 92mm x 1 | 92mm x 2 | ||
ノイズレベル | 19.3 dB(A) | 18.4 dB(A) | 19.8 dB(A) | 19.8 dB(A) |
消費電力 | 14.96W | 16.44W | 28.30 W | 32.17 W |
幅 x 高さ x 奥行き[mm] | 108 x 232.2 x 165 | 106 x 223 x 166 | 199 x 223 x 166 | 199 x 223 x 166 |
重さ | 1.3kg | 1.51kg | 2.18 kg | 2.24 kg |
ネットワーク プロトコル | SMB、AFP、NFS、FTP、WebDAV、CalDAV、iSCSI、Telnet、SSH、SNMP、VPN(PPTP、OpenVPN、L2TP) | |||
セキュリティ | ファイアウォール、共有フォルダ暗号化、SMB 暗号化、FTP over SSL/TLS, SFTP、rsync over SSH、ログイン自動ブロック、Let's Encrypt サポート、HTTPS (カスタマイズ可能な Cipher Suite) | |||
仮想化 | - | VMware vSphere 6.5、Microsoft Hyper-V、Citrix、OpenStack | ||
マルチメディア | Moments、Video Station、Photo Station、Audio Station、iTunes Server | |||
オールインワンサーバー | Synology Directory Server、Central Management System、VPN Server、Mail Server 、Mail Station、SMTP サーバー、Web Station、その他のパッケージ | |||
iOS/Android? アプリケーション | Synology Drive、Synology MailPlus、Synology Chat、Synology LiveCam、Moments、DS audio、DS photo、DS video、DS cam、DS le、DS nder、DS note | |||
共同作業ツール最大ユーザー数 | Chat:600 Office:1,000 | Chat:1,500 Office:3,400 | ||
iSCSIターゲット | 128 | |||
iSCSI LUN | 256 | |||
ユーザー数 | 2048 | |||
グループ数 | 256 | |||
並列接続数 | 500 | |||
共有フォルダ | 256 | 512 | 512 | 512 |
スナップショット | 1,024 | 1,024 | 1,024 | 1,024 |
IPカメラ(無償) | 2 | |||
IPカメラ(最大) | 25 | 40 | 25 | 40 |
備考 |
Synology DS+外観
ハードウェアの外観としては「DS420+」と「DS920+」はeSATAポート程度しか差異はありませんが、「DS220+」と「DS720+」は正面も背面も別のグレードのようにボタンの位置やポートの位置に違いがあります。




アプリ
アプリとしてはSynology純正のアプリとサードパーティ製のアプリが提供されています。
Synology製
Synology製のアプリで主なものは、Synology NASをCloudのように活用できる「File Station」、「Photo Station」、「Video Station」、「Moments」等があり、またメディア関係は「メディアサーバー」、「iTunes Server」などがあります。
また「VPNサーバー」や「プロキシサーバー」、「Webサーバー」などのアプリもあり、無料ドメインも提供されているため、自宅でサーバーを簡単に構築可能です。

サードパーティー製
サードパーティー製ではDB関係や「WordPress」、開発用の「PHP」、「Ruby」、「Python」、「Git」等様々なアプリが提供されています。

またVPNの機能については以下で紹介しています。
iOS/Androidアプリ
PlusシリーズではJシリーズでは提供されていなかった3つのiOS/Androidアプリが追加されています。
共通アプリ
- Synology Drive
- Moments
- DS audio
- DS photo
- DS video
- DS cam
- DS le
- DS nder
- DS note
Plusシリーズのみのアプリ
- Synology MailPlus
- Synology Chat
- Synology LiveCam
ほとんどのアプリは共通で提供されていますが、ビジネスユースが考えられるメール、チャット、IPカメラのライブ視聴についてはPlusシリーズのみの機能となっています。
MailPlusは強力な検索機能やメールの整理機能、タグ付け、アドレス帳やChat、カレンダーとの連携機能を持っています。

Synology Chatはチャットアプリであり、会話を一か所で集約して管理することができます。メッセージをブックマークしてToDoリストのように課題を管理したり、ハッシュタグを用いてタグ付けし、プロジェクトを管理したりすることができます。
チャットはスレッド形式で案件毎にスレッド建てしてデータを一元管理することもできます。家庭で使うときは話題毎にスレッド建てすることも可能です。

LiveCamはそのままIPカメラのライブ映像をリモートで閲覧可能なアプリとなります。
最後に
SynologyのNASの最高性能のNASを求めている方にはおすすめのNASキットであると言えます。なんでもできると言えるぐらい様々な機能を使え、それを同時に処理できます。
jシリーズなどではメモリが貧弱であり、同時処理を行うとNASがひいひい言いますが、plusシリーズでは気にせずに同時にタスクを処理することができます。
SynologyはNASキットのため、HDDは別売となります。故障しにくいおすすめのHDDをこちらで紹介しています。