新型コロナウイルスの影響により情報処理安全確保支援士の集合研修が、今年更新の一部期間の方のみレポート講習になりました。私も2020年10月の更新対象となり、レポート講習となりましたので皆さんにどのようなものだったかを紹介したいと思います。
情報処理安全確保支援士とは?
「情報処理安全確保支援士」とは、サイバーセキュリティ対策を推進する人材の国家資格です。サイバーセキュリティ対策の重要性が社会的に高まる中で、それを担う人材の育成・確保のために、「国家資格」が生まれました。
この資格は、一定以上の知識を習得しているという保証はしてくれますが、それ以上のものではありません。
一方で「情報処理安全確保支援士」は業務独占資格ではなく、名称独占資格になります。栄養士、保育士、保健師、作業療法士などが該当します。資格を持っている人だけが、その名称を名乗ることができる資格です。
医師、看護師は業務独占資格であり、「医師でなければ、医業をなしてはならない」と法律で業務を保護されています。しかしながら、資格がなく「情報処理安全確保支援士」の仕事をすることには罰則規定がありません。ここが業務独占資格と名称独占資格との大きな違いとなっています。
また「情報処理安全確保支援士」に一度でもなった方は、資格を失った後も「秘密保持義務」に縛られることになります。この秘密保持義務は以下の法律で規定されています。
(秘密保持義務)
引用元:情報処理の促進に関する法律
第二十五条 情報処理安全確保支援士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。情報処理安全確保支援士でなくなつた後においても、同様とする。
各講習について
講習にはIPAが行うオンライン講習と実践講習(集合講習)と、一定の条件を満たした民間事業者等が行う特定講習の2種類があります。
情報処理安全確保支援士は、登録日または更新日から、更新期限の60日前(登録更新申請期限)までに、オンライン講習を3回(1年につき1回)に加え、実践講習又は特定講習を1回受講することが義務付けられています。講習はサイバーセキュリティに関する知識、技能、倫理を学習する内容となっています。
更新については、例えば私は2017年10月に登録しましたので、2020年10月に更新となります。そのため、2020年8月1日までに登録更新申請を行う必要があります。

更新までにかかるお金
トータルでオンライン講習(20,000円)×3回と集合講習(80,000円)×1回の140,000円が3年間で必要になる費用となります。更新費用自体は掛からないため、講習費用に更新費が入っていると考えるしかありません。
ただ宅建などでも更新は5年に1度で15,500円ということを考えると馬鹿高いと思います。現在は官庁などの入札の条件程度しかないので、将来的に業務独占資格になってくれることを期待しています。何人以上の企業は設置義務有等なってくれると多少マシになるのですが。
オンライン講習
3年で3回受講するオンライン講習となります。主に以下のような内容を学ぶ機会となります。理解度テストもあるので、まじめにやればある程度覚えることはできるようになります。
- 最新のサイバーセキュリティの状況等
- セキュリティの設計やテストの手法
- 倫理・コンプライアンス 等
まあ6時間の講習となっていますが、3時間くらいあれば終わります。あとはどの程度自分で読み込んで学ぶかというところが大切な講習です。資料としてはそれなりの質があるので、ダウンロードしたいのですが、基本的にはWebでの講習のみで閲覧期限も1年間のみとなっています。
2万円と考えるとかなりお高いと思います。私は個人では払いたくないので、勝手に取った資格の講習費用を会社に負担してもらっています。

レポート講習(集合講習)
新型コロナウイルス拡散防止のため、2020年2月27日(木)から集合講習が中止しておりました。
通常の集合講習は以下のようなもので7時間程度 80,000円とオンライン講習よりさらにお高い講習となっています。私は受けることができなかったので、どのようなものかは分かりません。3年後受ける機会があれば、記事にしたいと思います。

この集合講習が新型コロナウイルスで中止となりました。ただ集合講習が復活しても会社が出張を許可しないだろうということで、私は代替の検討をお願いしますと3月くらいからIPAにメールを送っていました。
ただIPAもお役所仕事で「中止が終わったら受講してください。まだあなたはオンライン講習も受けてませんよ。」と言われるだけでした。
そんな中やっと代わりにレポート講習が開始することになり、6月1日より申し込みが開始しました。内容は以下のようなものになっています。
■申込開始:6月1日(月)
引用元:情報処理安全確保支援講習受付センターメール
■受講期間:6月1日(月)~7月20日(月)
■レポート講習の構成:
・理解度確認テスト
・レポート講習オンライン教材
・レポート課題
・アンケート
■レポート講習修了条件:
1. 理解度確認テストを受験し合格すること
2. レポート講習オンライン教材を学習すること
3. レポート課題を提出し合格すること
4. アンケートに回答すること
■受講料:\20,000(非課税)
基本はオンライン講習のように情報処理安全確保支援士として必要な知識を詰め込む点と理解度テストでの理解度を確認する点は変わりません。レポートが追加されているので、学ぶための資料とテストは何分の1かになっています。
そして追加でレポート課題があるため、シナリオに対しての対策を指定の文字数で回答します。
研修の内容について詳しく書くことは禁止されているため、あまり記載はできませんが、レポートの内容を行うとインシデント対応等の実際の対処の流れの1つを理解することができるので、実業務でセキュリティ関係を行っていない方にとっては勉強になると思います。
むしろオンライン講習を通常のオンライン講習+レポート講習の内容にして貰えれば、20,000円は少し納得できる気がしました。
経産省の方と話をする機会があったので、情報処理安全確保支援士の今後について伺ってみましたが、メリットを増やさないといけないという考えはあり、海外での利活用ができる国際資格にしていこうとは考えているようです。ただ独占業務は難しそうなので、独占業務ができるとうれしいですね。
まとめ
情報処理安全確保支援のレポート講習を受けたので、どのようなものかを簡単に記載しました。あんまり詳しく書くと問題になるため、さわりだけですが情報処理安全確保支援士でどのようなことを学ぶことができるか、皆さんに知ってもらいたいと思い記事にしています。
会社が費用を負担してくれるようであれば、定期的にセキュリティの情報を得ることができるので、質を維持するという意味では意味のある資格だと思いますので、皆さんも取得してみてください。