本記事では今まで別記事にてPMBOKについて解説してきましたが、情報処理推進機構(以下、IPA)が主催するプロジェクトマネージャ試験に私が1発で合格した勉強方法についてのポイントをお伝えします。
CONTENTS
合格のポイント
- 事前の応用情報処理試験の合格(午前1試験免除とベース知識の取得)
- 午前2試験は時間を空けて繰り返し勉強と内容の理解(過去問とアプリ)
- 午後1試験は過去問を繰り返し解くこと。間違えた問題の解説や他の参考書から何故そのような考え方になるかを理解し、説明できるようになること。
- 午後2試験(論文)はいくつかのパターンのサンプル論文を自分の経験に従い、アレンジし作成すること。そしてそのベースを持って他の5年分の過去問を解き、PMのポイントを押さえているか確認すること。
- 最後に総復習で残しておいた最新の過去問2年分を試験同様の時間配分にて解く練習をします。
では実際に私がどのような勉強方法を行っていたか時系列で説明し、皆さんの合格の勉強計画の助けになれば幸いです。また長いスパンで計画を立てる場合には時系列を引き延ばせば問題ないかと思います。
参考に私の成績を記載しておきます。

事前情報
PM試験がどのようなものか、また私がどのようなスキルや業務経験を持ち、受験したかについて説明します。PMを受験する際にプロジェクトマネージャとしての経験が豊富である必要がないことも私の業務経験を見ていただくをわかるかと思います。
プロジェクトマネージャ試験とは
IPAが主催するプロジェクトマネージャ試験は情報処理技術者試験の中でもレベル4に位置する高度な試験です。H31年の実績でも合格者が14.1%となっており、1541人しか合格しておりません。
レベル4は試験で測れる最難関に分類されるレベルとなります。

スキル・業務経験
- システム開発経験なし(要件定義や基本計画のみで発注がメイン)
- 開発側のプロジェクトマネージャ経験なし(発注側でのみプロジェクトマネージャ経験あり)
情報処理技術者試験の合格状況
- 応用情報処理技術者試験合格
- セキュリティスペシャリスト試験合格(現:情報処理安全確保支援士)
- ネットワークスペシャリスト試験合格
ここでのポイントは2つあります。
1つ目はスキル・業務経験記載のように工場の技術者としての発注と工程管理がメインであり、システム開発や製作はメーカーに依頼している立場でした。
そのため私はメーカーがプロジェクト管理しているのをチェックする立場であり、メーカーがどのようにプロジェクト管理を行い、開発しているかをチェックするためにこの資格を取得しました。
2つ目は高難度試験の午前1試験の免除ができていることです。これは必須ではありませんが、午前1免除になっていると勉強量の削減と当日の朝に最終チェックの余裕が生まれます。
合格のポイントにも記載しましたが、応用情報処理技術者試験に合格していない場合は高度試験のベース知識を幅広く学ぶことができ、考える力の下地になるためこちらの合格から目指した方がよいと考えています。
試験勉強開始
試験3か月前
2017年4月の試験で申し込みを行いました。毎年何かしらの試験を受けているので、試験の3~4か月前から大体試験勉強を始めています。
この時期に実施することは、まずは午前試験の対策です。午前1は免除になっていたので、午前2試験の対策がメインの話となります。
午前1試験対策
午前1の対策としては応用情報処理技術者試験に合格することです。
午前1試験を免除になるから当たり前だと思う方も大勢いると思いますが、午前1を免除になることが一番の対策です。その分他の勉強に回せますし、午前1試験の試験時間の間、試験前の最終確認に回すことができます。
また応用情報処理技術者試験に合格すると大体午前1の試験範囲と同様の内容を理解することができます。そのため、免除期間を超えたとしても再度受けた場合に試験対策も思い出しながら、過去問を解くだけで対処可能です。
午前2試験対策
午前2の対策としてはひたすら過去問を解いて、理解し or 暗記で間違いなく解けるようになることです。
午前2試験はマークシート方式で全部で25問が出題されます。その中で8~9割は過去問と同じ問題が出題されます。
そのため、私は過去5年分の過去問題を解きました。そして暇な時間等にスマートフォンのアプリで過去問題を繰り返し解くだけで100点満点で84点で無事に午前2試験を通過しました。(合格は60点以上)
この午前2試験の対策には2週間程度かけています。この2週間で完璧にできることを目指すのではなく、全体的にどのような問題がでて、どの程度解けるのかを理解することが大切です。
午後1・2対策を行っている間の空き時間等で午後2の勉強をアプリなどで行うことで、効率よく勉強することが可能です。アプリでは解答の解説まで行ってくれているものがおすすめですが、解答がない場合でも分からないところは調べて理由を理解することが、午後1・2対策にも繋がります。
試験2か月半前
午後1対策を始めます。高度試験に慣れていないと午後1、2の試験対策時間の配分が分からず、どんどん後ろの工程に影響が出始めます。午後1試験対策は1ヶ月程度で終わらせる必要があります。
午前2、午後1それぞれマイルストーンを置いて目安の期間で一度終わらせることが大切です。遅れをそのままにすると午後2対策を行う際に時間が無くなり、非常に焦るようになります。
午後1試験対策
過去問を5年分程度ひたすら解き、問題の解答のコツを掴むこと。問題の回答がなぜその答えになっているかを説明できるようになることが大切です。
午前2試験と異なり、午後Ⅰ試験は全く同じ問題が出ることはありません。そのため過去問を解く際に問題や答えを暗記する方法を選択することは賢い選択ではありません。
ただし、午後1問題は応用情報処理技術者試験の内容レベルの技術的な最低限の知識があれば、国語力のような文章題への回答のコツを掴めれば簡単に解くことが可能です。
そのためには過去問を解く際に、解答がどのような理由でその答えになっているかについて技術的にどうしてかを説明できるようになることが重要です。ここで問われている技術的知識は高度な内容ではないですが、文章で説明し解答できるようになることが必要です。
過去問を解く際に心掛けることは分からない問題、解けた問題の技術的な理由を理解し、説明できるように答え合わせを行う際に調べて、次は解答できるようになることが必要です。
そしてこの解き方を他の問題に応用できるようになれば、午後2試験対策は完璧です。
午後1試験も私は100点満点中 70点で通過しました。(合格は60点以上)
試験勉強の時には過去問の解説、この後説明する論文のサンプルが付いている問題集がおすすめで、私は下記の参考書の2016年版を使用しました。
試験1か月半前
試験1か月半前にやっと午後2試験対策を始めていきます。午後2試験は論述試験になっており、試験時間2時間の間に2,000文字以上を書くことが必要です。
そして論述で記載する内容は3問程度に分割されており、全体の記載内容を考えて書くことが必要であり、全体の整合性の見直し修正を含めるとさらに余裕が必要になります。
実際に書いてみるとわかりますが、試験時間中に書こうとするとかなり辛いです。そのためこの後模擬試験で時間配分を学ぶことを行います。
午後2試験対策
午後2試験(論文)はいくつかのパターンのサンプル論文を自分の経験に従い、アレンジし作成すること。そしてそのベースを持って他の5年分の過去問を解き、PMのポイントを押さえているか確認することが大切です。
午後2試験に対して私は開発側のプロジェクトマネージャは全く行ったことがなかったため、1か月程度はかけて午後2の試験対策をしっかりと行いました。 実際に以下の流れで試験対策を行いました。
- 他人の論文をそのまま覚えて出題に沿って書いてみる
- サンプル論文のキーワードやプロマネとしての考え方を理解する
- 参考書の論文サンプルから出題パターン(リスク、タイムマネジメント、変更管理等各頻出マネジメント)毎に自身経歴から書きやすい論文を作成
- 出題パターン毎に2の論文をアレンジしながら、解答する(時間は気にしない)
- 過去問を5年分程度解く
ここで1番のポイントは2と3の練習です。これは何かというと過去問を読んで各問題文の問にたいして実際にどのような内容・キーワードでサンプル論文で論述しているかを理解するということです。
そして上記理解を深めた後、自身が書きやすいように自分の周りに置き換えてサンプル論文をアレンジし、何パターンか、キーワードや起きたトラブルを洗い出し、時間を掛けて論文を作成してみます。
このように順序立てて対策することで、論文の構成をどのようにしたらよいのか、プロマネとしてのキーワードはどのようなものなのかを理解した上で自身の論文を作成することが可能です。
そして自身の論文をベースに色々な出題パターンがあるため、少し修正しながら論文を組み立てていく練習を行います。過去問を解く場合は時間を計って解くことが重要です。最初は時間に間に合わないですが、時間管理を学ぶことで試験の際に間に合わないことを防ぐことが可能です。
リスクマネジメント、タイムマネジメント、変更管理が頻出のためその問題は練習しておくことをおすすめします。
このように対策した結果、午後2の評価ランクは「A」で合格できました。(合格ラインは「A」)
試験2週間前
直前2週間は過去問数年分を模擬試験として解いて最後に各午前2~午後2までで苦手な箇所の洗い出しとその対策を行うことが重要です。一度覚えたことも少しあいまいになっているかと思いますので、ここで思い出し、本番に臨めるようにしっかりと理解を深めます。
模擬試験の採点結果で大体どの程度自分が合格できそうかを理解し、最後の追い込みを行います。
最後に
プロジェクトマネージャ試験対策について記載しましたが、いかがでしたでしょうか。この記事を読んでいただいてPMの試験合格への勉強計画の参考になり、皆さんが合格する手助けになれば幸いです。
また以下にプロジェクトマネージャ試験の元となるPMBOKについて記載した記事を張っておきます。参考書を読む前にどういう知識を問われるか知りたい方は見てみてください。