アウトドア用に木工などができるちょっとしたナイフが欲しかったのですが、ケラム ウルヴァリンは1万越えで高いですし、モーラナイフ コンパニオンはあまりデザインが気に入らないため、なかなか購入するに至りませんでした。
そこでもう自分の気に入るナイフを作ろうと決め、使ったお金は3,000円程度で2日かけてシース含めて製作しました。今回はシース製作までを紹介したいと思います。
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前回のおさらい
前回の記事にてナイフ製作に至るまでの心の変遷とナイフのハンドル製作までを紹介しましたが、簡単におさらいします。
また以下に前回の記事をリンクしておきます。
まずナイフ製作に至った経緯は、冒頭にも記載していますが、ケラム ウルヴァリンのようなプーッコナイフが欲しかったのですが、高いので辞めました。そこに至るまでにバトニング用のナイフを買ったり、手斧を購入したりと紆余曲折ありました。
そして、デザインが気に入らないモーラナイフ コンパニオンの代わりにモーラナイフのブレードのみ購入して、自分でハンドルを取り付けたというのが前回の流れになります。
出来上がったナイフがこちらです。このあと耐水ペーパーとオイルで磨いてもっと綺麗になっているのですが、シース製作時までには磨いてなかったので、ちょっと艶がない感じです。

プーッコナイフの作り方~シース編~
ではシースの製作に早速入っていきます。事前準備としては以下のような道具を用意します。
事前準備
- 革 2mm厚
- 木片(20mm*100mm*50mm)2個
- 木材用接着剤
- レザークラフトセット一式
- 菱ギリ
- へり落とし
- カービングセット
- トコノール
今回、革は以下のAmazonの1,100円で20枚くらい入っているタンロー端切れパックを使っています。染色前の1mm〜2mm厚のタンローがこの価格で500g購入できるのはかなりおすすめです。
レザークラフトセットについては6,000円で大体の道具が揃っている「KAMON」を私は購入しました。その後、スタッズなどの道具を追加購入しているので、もう少し予算があるのであれば10,000円程度になりますが、「YIGIZA」のセットが道具が一式揃っていておすすめです。
こちらのセットであればプーッコのシースに描くカービング用の刻印棒もセットで入っています。私は後からこっちの高いセットにしておけばよかったとちょっと後悔しています。
シースの作り方
まずはシースの鞘部分を作ります。適当な木片2つを組み合わせて刃を収める部分を作成します。
鞘部分の作成
木片に刃のサイズで罫書を行い、その部分を掘り込みます。片面のみの掘り込みでも構いませんが、両面に掘り込みを入れた方が刃の収まりがよく、ガタつきが少なくなります。
また刃先の部分に水が入った時用の水抜き穴を開けておきます。

掘り終わったら、鞘の貼り付ける面に木材用の接着剤(今回はエポキシ樹脂)で貼り付けます。側面の刃を収める部分も載せておきます。

鞘を貼り合わせたら、鞘にシースの形状の罫書を行います。全体的には真っ直ぐで先の方を曲げた形で今回は製作したいと思います。

プーッコのシースをプーッコナイフで削り出していきます。形を整えながら、削っていきます。削り終わった姿が次の写真です。
中心部分を少し膨らませて立体感を出すようにしました。

続いて形状を整え終わったら、刃を出し入れする口の部分を広げます。革で全体が覆われるため、目くらで刃を差し込む必要があるので刃を入れやすいように口を広げていきます。
これで鞘部分の作成完了です。

ウォーターフォーミングでの革の成形
今回はウォーターフォーミングと呼ばれる技法で製作します。この方法は革を水につけて、形状を固定した状態で乾かすことで、乾いた時に形状が固定されるという成形方法になります。
まず準備として刃錆びたりや鞘やハンドルが水分を過剰に吸わないようにナイフはラップで覆い、鞘部分は少し乾性油(アマニ油やグレープシードオイルなど)を塗っておきます。

続いて2mm程度の厚みの革を鞘の先端からハンドルの一番膨らんでいる箇所+α程度が包めるくらいのサイズに切り取り、革を2分程度水に沈めておきます。
取り出した後、少し表面の水分をペーパータオルで取ります。そしてまずハンドル側の内側に折り返す部分を若干薄くするために、内側の革を剥ぎ取ります。

剥ぎ取った箇所の革を内側に折り込み、ヘラで折り目をつけます。そしてナイフのハンドル部分の一番膨らみがある部分に合わせて、縫う箇所から先の部分の革を切り取ります。
そして菱ぎりで革にテンションが張るようにごくわずかにハンドル径より小さめに穴を開けて、平縫いで縫い付けていきます。

穴を径のギリギリに開けて、平縫いで縫い付け、革を引っ張ってナイフと鞘の形状に合わせていくという作業を繰り返していきます。

縫い終わった裏側は次の写真のようになります。ハンドルの方は後で紐を通すため、1cm〜1.5cm程度余代を残しておいてください。
その他の部分は5mm程度までナイフ等で切り取っていき、やすりがけし、ヘリ落としを行い、トコノールでコバ磨きをしていきます。

模様入れと紐通し
コバ磨きした後が以下の写真です。また先端部分は今回は若干革が余ったので、鏃のような形状にしました。裏面にトコノールを塗って表面を滑らかにしておきます。

ハンドル側についてもコバ磨きを行い、こちらは紐を通すための穴を開けます。5mm程度の穴をポンチにて開けます。そして補強のため、周囲を縫い付けます。

表側はカービング用の刻印棒やヘラにて模様をつけていきます。私は刻印棒を一本も持っていなかったので、ヘラで全てデザインを描きました。
また形状の絞っている部分や段差をしっかり出したい部分もヘラでしっかり跡をつけます。

次に紐を通します。大体シースの先端からナイフのハンドルまでより数センチ長いくらいで厚さ2mm、幅1.5cmくらいの革を用意します。
私は厚さ1mmで作ったのですが、中がスカスカになってしまったので、1.5mmか、2mm厚をおすすめします。
片側の端に3,4mmのポンチ穴を開けておきます。こちらもウォーターフォーミングで水に沈めた後、捻って形状を作っていきます。
シースの穴に通して、そしてもう一度しっかり捻り直して、紐の端の穴に反対の端の部分を差し込みます。乾いたらしっかり固まるので、簡単には取れなくなります。

オイルや乳化性クリーム加工
最後に革にミンクオイルや乳化性クリームを塗ります。ミンクオイルはべたつきやすく、革を柔らかくする特性があるので、嫌いな人は乳化性クリームを塗るようにしましょう。
私はミンクオイルを塗ったので、ヒートガンで染み込ませるようにしています。オイルを浸透させたので、若干濃い肌色に変化しているのがわかるかと思います。
ナイフを出し入れすると隙間がなく作れているので、シュポッっと空気が抜ける音が聞こえます。初めて作りましたが、結構上手くできているのではないでしょうか?


まとめ
今回は前回のナイフのハンドル製作に引き続き、プーッコナイフ用のシースを作成しました。カービング刻印棒があればもう少しデザインの幅を広げることができたので、そのうち買いたいなと思っています。
また前回のハンドル製作はいい木工用のナイフがなかったのでカッターナイフでハンドルを加工したため、所々凸凹しており、綺麗な表面にできなかったので、次回はより綺麗にハンドルを製作できるかなとも思っています。
その時はシースもよりデザインの良いシースを作成したいと思います。
ナイフもシースも道具があれば、結構簡単に作ることができます。皆さんも自分だけのナイフとシースを作成してみてはいかがですか?