【ネットワークエンジニアが解説】ネットが遅い時にはどこを確認する?(1):確認のポイントを説明

 自宅でスマートフォンやパソコンでネットサーフィン、ゲーム、動画等を楽しむ際に遅い、接続が切れるなど動画を安定して見られないと感じたことはないでしょうか?安定した通信品質を保つためには以下の4つが大切です。

  1. 帯域の確保できたネット回線(Nuro光の2G回線等)
  2. 広い家の場合は無線LANアクセスポイント、ネットワーク機器間の通信帯域(無線間の中継機能とデュアルバンド対応、Cat5e以上の有線接続等)
  3. 無線LANアクセスポイントの使用できる通信手法、機能(11ac、11ax、MU-MIMO、ビームフォーミング等)
  4. 周辺の無線の干渉有無と無線のチャンネル設定(160MHzのチャネルボンディング)

 今回は上記の中の2-4の項目に関わる無線機器の選定について今回説明を行い、次回コスパの良好なおすすめ機種を価格帯毎に違い含め紹介します。

 私も自宅のネットワークはかなりこだわりを持っており、ネット回線はNURO光の2Gbps、そして無線LAN兼ONUを1Fに設置し、リビング、2F、寝室まで有線LANのCat5eで配線を行うようにしており、2Fについても無線LANアクセスポイントを設置しています。

すべて11acをメインで160Mhzの8チャネル*2台の設定で構成しています。 爆速でストレスなく自宅の各機器が使用できております。

無線LANアクセスポイントを選ぶ前に

 まず無線LANを選ぶ際に事前に確認いただきたいのが、現在のネット回線の契約になります。2GbpsのNURO光や、1Gbpsのフレッツ光隼・フレッツ光ネクスト・auひかり等の光回線を今回は対象にしています。

100Mbps等の回線では無線LANアクセスポイントを高速対応させても、ネット回線にてボトルネックとなり、遅いままとなります。

 それ以外の契約や光回線でも遅いと感じている方は下記の別途おすすめのネット回線を説明しますので、そちらを参考に契約の見直しをしてみてください。

 またそもそも無線LANアクセスポイントを購入する前にNURO光の契約ではそれなりの無線LANルーター兼ONUを導入してもらえるため、NURO光を契約している方はNURO光から渡されたONUの設定を変更するだけで高性能な無線LANを使用可能な場合がありますので、確認いただいた方がいいかと思います。

私もNURO光を使用しておりますが、メインの無線LANルーターはNURO光の機器を使用しています。

無線LANアクセスポイントの選び方

無線LANアクセスポイントの選び方の観点として以下のが挙げられます。

  1. 設置場所の構造が木造か、鉄筋かどうか
  2. 設置場所の広さ
  3. 無線の周波数帯と規格(5GHz、11ac、11axがおすすめ)
  4. 無線LANアクセスポイントの機能(ビームフォーミング、MU-MINO、チャネルボンディング、OFDMA)

設置場所の構造が木造か、鉄筋かどうか

 まず一番重要なところが1.の自宅が木造か、鉄筋かというところが重要となります。鉄筋の住宅では木造の住宅にくらべ壁面での電波の減衰が大きいため、近くても隣の部屋まで届かないことが発生します。

 私も前の社宅では鉄筋コンクリート造であったため、隣の部屋であっても電波があまり入らないということが発生しており、無線LANを増設し対応することが発生しました。

 設置場所が鉄筋の場合は届かない可能性を考えて有線や無線中継器を使用して複数台の無線LANを接続し使用することが必要です。

 ただし無線中継器を使用する場合はデータの送受に使用するための帯域を同じだけデータ伝送に使用する必要がある点、無線中継を行うために2.4GHzと5GHzを使用できる無線機器の場合は2.4GHzか5GHzのどちらかを割り当てする必要があります。

そのため、遅い2.4GHzでスマホ等と通信し、中継を高速な5GHzで行うか、またその逆を行うかのため、どこかで2.4GHzの通信がボトルネックになる問題が発生します。

2.4GHzでの無線中継のデメリット
2.4GHzでの無線中継のデメリット

 それを解消するため、5GHzが2回線使用可能な機種にすると今度はチャネル数が不足します。W52,53,56で19チャネルですが、160MHzを11acで使用する場合、2つしか使用できません。

そのため1F、2F、1-2F中継での3つ以上使えるようにするため、チャネルボンディングを80MHzとし、通信速度を落として使用する必要があります。

私はそれが耐えられないため、Cat5e以上の規格にて有線接続にしていますが、一般的な方であればMIMOなしでも433Mbps出るため、動画視聴等でも何ら問題はないです。

5GHzでの無線中継のデメリット
5GHzでの無線中継のデメリット

 また最新の11axにおいては2.4GHzにおいても1Gbps以上でるため上記問題はほぼなくなってきています。

5GHzでの使用可能なチャネル
5GHzでの使用可能なチャネル

設置場所の広さ

 設置場所の広さについては現状大体の機種が3階建て/4LDK対応のものが主流のため、その記載のあるものを選択していれば特に問題はありません。ワンルームの場合は2階建て/3LDKの機種でも問題はないかと思いますが、最新の機能が不足している場合があるため、注意が必要です。

無線の周波数帯と規格

 無線LANアクセスポイントの周波数帯としては2.4GHzと5GHz帯がありますが、2.4GHz帯は障害物の影響を受けにくく、長距離の通信にも向いていますが、2.4GHzを使用している機器が多いゆえに電波が混雑しています。

 そのため、2.4GHz帯は大量の電波が飛び交う繁華街や密集した住宅地などでは、通信障害や通信速度の低下が起こりやすくなります。また電子レンジやBluetoothなど、同じ周波数帯を使う他の機器と電波干渉を起こすこともあるため設置環境などに注意しなければいけません。

 無線LANの規格を定めているのがIEEE802.11です。無線LAN規格の詳細として伝送規格についてはIEEE802.11b/11a/11g/11n/11ac/11ad/11axで定義されています。2.4GHz帯を使用する場合は11nか、11axの2択となります。

 一方で5GHz帯は障害物からの影響を受けやすいが、同じ周波数帯域を使用する機器が少ないため電波干渉が起こりにくく、混雑を回避できます。

 5GHz帯に対応している商品の方が電波干渉を回避できるので、住宅の密集したマンションなどで使う際に特におすすめです。

 5GHzの場合は11acか、11axの2択となります。つまり11acまでの安価な機種か、11axまで対応した最新機種を選択するかということになりますが、まだまだ11ax対応機器は少なく高価なため、自宅用としては11acで十分であると言えます。

Wi-Fi(無線LAN)規格最大通信速度周波数帯
IEEE 802.11a54Mbps5GHz
IEEE 802.11b11Mbps2.4GHz
IEEE 802.11g54Mbps2.4GHz
IEEE 802.11n600Mbps2.4GHz/5GHz
IEEE 802.11ac6.9Gbps5GHz
IEEE 802.11ax9.6Gbps2.4GHz/5GHz

無線LANアクセスポイントの機能

 主な技術としてビームフォーミング、MU-MIMO、チャネルボンディング、OFDMA等があります。11acまでの規格を対応した機器を導入する場合はビームフォーミング対応、MU-MIMOで何本アンテナがついているかを確認し、必要な機器分の同時多接続性が確保できているかが無線LANアクセスポイント選定のポイントとなります。

ビームフォーミング技術

 まずビームフォーミングは使用している各機器に対して通信品質が保たれるように特定の方向に電波に指向性を持たせて飛ばしてくれる技術であり、安定した通信を行うためには必要です。

ビームフォーミング技術

MU-MIMO

 MU-MIMOを理解するために、まずは元となる技術である「MIMO(SU-MIMO)」について説明するとMIMOは、データの送受信時に送信側と受信側の両方で複数のアンテナを使って、アンテナの数の分、無線通信を高速化する技術です。MIMOはIEEE 802.11nから採用されています。

 ”4×4″というような記載が無線機器にあると思いますが、これは、4つの送信アンテナと4つの受信アンテナを使って通信できることを表しています。

 ただ1台に対して4ストリームで通信するため、複数台ある場合は順番に通信する必要がありました。そこでIEEE 802.11acから採用されたMU-MIMOではアンテナそれぞれで各機器と通信させることで同時多接続性を持たせ、複数台でも高速に通信可能となりました。使用できるアンテナ本数は機器によりますが、対応機器では高速に通信可能です。

 さらにIEEE 802.11axでは11acではダウンロードはMU-MIMOが機能しますが、アップロードはSU-MIMOと同様に4ストリームを使用し、順次通信という形でしたが11axからはアップロードもMU-MIMOが機能するため、より複数台でも高速に通信可能となっています。

MU-MIMO

チャネルボンディング

 IEEE 802.11nから利用できるようになった、無線LANの通信速度を高速化する技術である。

 無線LANは、通信に利用できる周波数帯を「チャネル」という単位で区切って使うが、無線LANアクセスポイントはそれぞれ異なるチャネルを使用して、電波干渉による速度低下を避ける。このチャネルを複数まとめて使って、一度に送受信するデータ量を増やすのがチャネルボンディングである。

 11nまでは束ねられるチャネル数は2だったが、IEEE 802.11acでは、最大8まで束ねられるようになった。チャネル毎の帯域幅は、11nや11acでは20MHzであり、チャネルボンディングによって8つのチャネルを束ねると160MHzとなる。5GHz帯では19チャネルのみとなるため、160MHzでチャネルボンディングする場合は2つだけしか設定することはできない。

チャネルボンディング

OFDMA

 追加での紹介となりますが、IEEE802.11axから追加された技術として「OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)」があります。OFDMAはOFDMをベースにした拡張方式で、LTEの世代で最初に利用された手法です。チャネルをさらに細分化して、別々のユーザーに割り当てる方式となります。

 IEEE 802.11acまでで利用されてきたOFDMでは、最小で20MHzのバンドを丸ごと全部、ある一定期間の間だけ特定のクライアントに割り当てる方式でしたが、OFDMAではこのバンドの中をさらに細分化して、必要であれば異なるクライアントに割り当てることが可能となるため、さらに同時多接続性が向上しています。

OFDMA

最後に

 今回は無線LANの技術に的を当てて、無線LANアクセスポイントを選ぶ際の必要な知識について説明をしてきました。次はではどのような機器を選んだらよいのか説明したいと考えています。

UMilCLhttps://umilcl.com
兼業ブロガー。メインは大手製造業システム企画・設計・プロジェクト管理。工場のプロセス制御が主な業務。 得意分野: プロセス制御と統計、機械学習、画像処理、システム技術 保有資格: プロジェクトマネージャー、情報処理安全確保支援士、ネットワークスペシャリスト、応用情報処理、第一種衛生管理者

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