Home IT関連 プロジェクト管理 【PMBOK】プロジェクトマネジメント(4):スケジュールマネジメントについて

【PMBOK】プロジェクトマネジメント(4):スケジュールマネジメントについて

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 数年前に情報処理技術者試験のPMに合格したので、その知識について、そして勉強方法について備忘録としてまとめようかと思います。シリーズとして投稿していく4つ目となります。

 初回はプロジェクトマネジメントとはどのようなものであり、知識体系としてはどのようにまとめられていて、活用されているのかについて説明します。そしてプロジェクトの成功って何なのかについて話をしました。

 2回目は続きとしてPMBOKで体系立てられているプロジェクトマネジメントのプロセス・知識エリアについてそれぞれのプロセス、知識エリアとはどういうものなのか、またそれぞれの関係性、流れはどのよになっているのかについて解説してきました。

 3回目はPMBOKで体系立てられているプロジェクトマネジメントの統合マネジメントの知識エリアのツール・技法について説明しています。

 今回4回目はPMBOKで体系立てられているプロジェクトマネジメントのスケジュールマネジメントの知識エリアのツール・技法について説明をしていきたいと思います。 私は以下の書籍でまず勉強しましたので、参考に貼っておきます。

情報処理教科書 プロジェクトマネージャ 2020年版 (日本語) 単行本(ソフトカバー)
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スケジュールマネジメントのツール・技法について

プロジェクトの計画において、ステークホルダー(プロジェクト関係者)と共通認識をもってゴールに向かうべくプロジェクトで実行範囲を決定します。

マスタスケジュール

 マスター・スケジュールとは,プロジェクトの開始から完了までを見通した「基本計画」である。

 以降に作成するすべての作業スケジュールの基準となるため、プロジェクトのリスクや要員のスキルなどを加味して,十分に実行可能なものにする必要がある。プロジェクトに必要な作業を見通せるのはプロジェクト・マネジャーだけなので,マスター・スケジュールは必ずプロジェクト・マネジャー自身の手で作成しなければならない。

 マスタースケジュール作成に当たっては以下の工期の見積もり例のように統計的にどの程度の工期で実施可能かを目安として考え、下記の各手法を用いて工期の算出を行う。

工期の見積もり例

工数と工期のデータを活用し、工数と工期の関係(散布図)の信頼幅を活用し、工期見積もりの妥当性の確認を行う。

・工数から工期の妥当性チェック
・工期短縮の目標値の目安
・工期短縮のリスク度合いの目安
 工数と工期を見積る際、期間短縮や納期の要求に対して対応可能かどうか、信頼幅95%の下限値を限界の目安として判断

例) 新規開発、開発5工程

 工数が約60,000人時(約375人月)の案件の場合、工期(月数)の中央値は12~13ヶ月であり、信頼幅95%の下限値の工期(月数)を見てみると約5ヶ月である。

 工期短縮には限界があり、統計的にも5ヶ月未満の工期での開発はリスクが高くなる。また、50%の下限値は約9ヶ月であり、目標の目安にするラインはここである。

 アサイン予定の担当者の能力等加味(若手が多い場合など最短工期での開発は困難なため。)して信頼幅がX%の工期が妥当か判断することも必要となる。

ガントチャート

 ガントチャートを作成するためには、WBSを先に作成する必要があります。WBSの作成方法については以下のプロジェクト統合マネジメントの記事に記載しておりますので、参照ください。

 WBSを簡単に説明するとプロジェクトの成果物(会計システム等)を製作するためのサブ成果物に分解し、それを最終的に作業単位に落とし込んだものになります。

 そしてWBSをガントチャートで可視化すると日々積み重なっていくタスクを一覧にして表示し確認しやすくすることで、忘れず確実にタスクを処理することができるようになります。もうひとつ、ガントチャートの最大の特性とも言えるのはそれぞれのタスクの担当者とスケジュールを可視化するということです。基本的にタスクには納期があります。納期があれば工数を逆算していつそのタスクに着手すべきか検討する必要があります。

 ガントチャートを作成することで、タスクそれぞれに与えられたスケジュールを一覧にして表示できます。

マイルストーン

 マイルストーンとはスケジュール管理で重要な区切りになるタイミングを指します。 特定の工程が終了する日や重要な要素を持つ日 (基本計画や外部設計、客先レビュー等) にマイルストーンを設定することで、プロジェクトにおける各工程の期限をより明確にし、プロジェクトに対する中間目標として、 また進捗状況によって工程が遅延する前に作業工程の見直しなど、マイルストーンを設置することによって柔軟な対応が可能になります。

 メンバー個々が行うタスクや日々のTODOと違って、プロジェクト全体における大きな区切りとして利用されます。

ADM(アロー・ダイアグラム)

 アロー・ダイヤグラムは,作業をアロー(矢印),各作業の開始点と終了点をノード(丸印)で表すもので,AOA(アクティビティ・オン・アロー)とも言う。プレシデンス・ダイヤグラムはその逆に,箱型のノードで作業を表しアローで作業間の順序関係を示す表記法で,AON(アクティビティ・オン・ノード)と呼ぶ。この2つは,作業間の関係を網の目のように表現するために「ネットワーク図」と総称する。

PDM(プレシデンス・ダイアグラム)

 作業(アクティビティ、タスク)をノードと呼ばれる四角形で示し、その作業順序や依存関係をアロー(矢線)で表現する表記法です。
順序関係はFS(Finish to Start)、SS(Start to Start)、FF(Finish to Finish)、SF(Start to Finish)で表します。また、順序関係にラグ(遅れ時間)やリード(先行時間)を設定可能です。

現在使われているプロジェクト管理ツールのほとんどでPDMを採用しています。

PERTとCPM(クリティカルパス法)

 CPMは、複雑なプロジェクトや個別のタスクに要する時間のスケジュール設定と管理を円滑化する上で有用な方法です。

 CPMでは、計画対象のプロジェクトの所要時間の決定要因となるアクションの具体的な順序を定めます。別々のタスクベースでプロジェクトを管理し、フローチャートでその内容を視覚化し、個別のタスクの正確な所要時間をほぼ完璧に見積もることができるため、重複する領域が多く、時間がかかり、遅延が発生しているプロジェクトの管理に特に役立つ手法です。

 すべてのタスクの収まるべき場所と推定所要時間をよりよく視覚化するため、PERT と CRM を組み合わせてプロジェクト管理を行うことが一般的です。以下の図がPERT図となります。

  開始から完了までの時間枠に併せ、さまざまなパス(矢印)の選択肢のルートをそれぞれのルートの前提タスクと作業に必要な期間を表した図となります。

 上記の図において完了までに要する時間が最も長い A → D → G → J のルートがクリティカルなパスであることが分かります。以下にクリティカルパスを赤く記載します。このクリティカルパス上のタスクが遅延してしまうと即スケジュールの遅延となる作業となります。

EVM(アーンドバリューマネジメント)

 EVMとは、プロジェクトマネジメントにおいて進捗状況の把握・管理を行う手法の一つであり、作業の到達度を生み出した価値に換算したEV(Earned Value:アーンドバリュー)という概念で把握する方法となります。

 まず上述のWBSなどを用いてプロジェクト全体を細かい作業に分割し、各作業にかかる予算コストを見積もった計画値(PV:Planned Value)を用意する。プロジェクト開始後、ある時点までに完了した工程の予算コストの合計が出来高(EV:Earned Value)で、これとその時点のPVとの差が計画と実際のスケジュール差異(SV:Schedule Variance)を表す。

 そしてその時点までに投入した実コストの積算値(AC:Actual Cost)とPVとの差が計画と実際のコスト差異(CV:Cost Variance)を表している。

 計画したコスト、スケジュールに対する現在までのコスト、スケジュール双方の進捗状況を統一的な尺度で把握することができ、さらにある時点での計画とのズレの大きさから、完成した場合に必要となる総時間、総コストを予測することが可能。

作業の進捗率の管理指標

 スケジュールを管理する上で細分化した各作業がどこまで進捗したか管理する必要がある。

 この各種ドキュメント、作業の進捗確認やEVを管理するための方法として予定数に対して完了数を使って進捗を管理する方法がある。すべての作業が完了した際に進捗100%やEVを100%としてしまうとプロマネに進捗が正確に伝わらないため、下記のように進捗をチェックすることが重要です。

各種ドキュメントの管理指標

  • 外部設計書、内部設計書、完成図書(完成ページ数/作業予定ページ数、完了数/設計予定数)
  • レビュー(レビュー完了ページ数/レビュー予定ページ数)

製作・テスト時の管理指標

  • プログラム作成(完了本数/予定本数)
  • テストケース(テスト実施数/テストケース数)
  • 不具合改修(不具合改修数/不具合の発生数)
  • 仕様変更への対応状況(対応件数/仕様変更発生数)

スケジュール進捗遅れ時の対処方法

 進捗の遅れを上記のスケジュール管理にて兆候の把握を行い、遅れの兆候をつかんだ際にはその原因を取り除いたり、遅れを取り戻すため、残業や追加人員などで工程を修正する必要がある。

スケジュールマネジメントでの遅れの原因について

 スケジュールの遅れの原因については多くあるが、主なものを以下に記載します。以下のような開発者やユーザ起因の遅れの兆候をプロジェクトマネージャーは把握を行い、事前にリスク検討にて立てた対策の実行をしてくことが必要となる。

 まず以下にスケジュールの遅れが発生した場合の追加人員投入での対策について2点記載します。

ファスト・トラッキング

 後続タスクの先行実施による工期短縮の手法である。例えば設計中に設計完了した機能から先行製作し、工期を短縮する方法であるが、他の機能との関係を正確に把握していないと手戻りなどのリスクが増大発生する可能性がある。

クラッシング

 コストを増加させる代わりにクリティカルパス上の作業に追加要員を投入する方法である。ただし、追加人員が該当のシステム開発に慣れていない場合などは投入時の教育が必要となり、実際に作業に投入するための作業が発生し、余計に遅れが発生するリスクもある。そのため補助的なタスクなどに割り振るなど、実施可能なタスクは考慮する必要ある。

開発者起因

  • 見積もり誤差
  • 調達ミス
  • 手配品の納期遅れ、不具合
  • 要因の退職、病気
  • 生産性が低い
  • 進捗確認が甘い

対策

  • 予算にマネジメント予備費を残す
  • 定期的に要員の状態確認を行う
  • 必要な能力のある要員をアサインする
  • 定量+定性的な進捗確認(成果物+ヒアリング)

ユーザ起因

  • ユーザ都合による仕様変更
  • ユーザ側の作業の遅れ

対策

  • ユーザとのプロジェクトスコープ、プロダクトスコープの認識共有と変更時の方法共有
  • 必要があればユーザ側の業務まで入り込む

最後に

 上記のようにスケジュール管理には様々な工程検討の方法や進捗確認の方法があり、プロジェクトにあった方法での検討が必要です。各ツールなどは知っておくだけでもこれで把握できるとわかるので知識としてつけておくことも大事だと思います。

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