【PMBOK】プロジェクトマネジメント(3):統合マネジメントについて

数年前に情報処理技術者試験のPMに合格したので、その知識について、そして勉強方法について備忘録としてまとめようかと思います。シリーズとして投稿していく3つ目となります。

初回はプロジェクトマネジメントとはどのようなものであり、知識体系としてはどのようにまとめられていて、活用されているのかについて説明します。そしてプロジェクトの成功って何なのかについて話をしました。

2回目は続きとしてPMBOKで体系立てられているプロジェクトマネジメントのプロセス・知識エリアについてそれぞれのプロセス、知識エリアとはどういうものなのか、またそれぞれの関係性、流れはどのよになっているのかについて解説してきました。

今回3回目はPMBOKで体系立てられているプロジェクトマネジメントの統合マネジメントの知識エリアのツール・技法について説明をしていきたいと思います。

プロジェクト統合マネジメントのツール・技法について

プロジェクトの計画において、ステークホルダー(プロジェクト関係者)と共通認識をもってゴールに向かうべくプロジェクトで実行範囲を決定します。

プロジェクトスコープ

成果物を生み出すための作業を定義する。品質、費用、納期などに基づいて、プロジェクトの目標やプロジェクト全体を規定する必要があり、プロジェクトの目標は、できるだけ定量化して表現する必要がある。PMBOKでは、プロジェクトスコープを正確に見積もるために、費用、スケジュール、品質に関する達成目標の基準値を明確に文書化することを奨励している。

プロダクトスコープ

プロジェクトが生み出すシステムやサービス、文書などの成果物を定義する。情報システムに求める機能をできるだけ詳細に記述し、システムの全体像についてベンダーとユーザーの双方が合意しなければならない。

 プロジェクトスコープとプロダクトスコープ

プロジェクトスコープは左の部分のような「要求分析」「基本計画」といった項目であり、納期、作業内容にあたります。「要求分析」だけでも、システムによって実際に行う作業内容は異なります。「現状の作業フローは?」「外部インターフェースは必要か?」「オンプレか、クラウドか?」などにより実際の作業は変わってきます。そのため漏れてしまわないためにも作業をWork Breakdown Structure(WBS)で展開して洗い出す必要があります。

 加えてプロジェクト毎に作業を一から洗い出していると漏れが生じるリスクが発生するため、 WBSの標準を持つことが重要になります。プロジェクトタイプ別に標準的なWBSを作っておき、プロジェクトの作業標準とし、そこに加えていくことで漏れの出るリスクを減らすことが可能です。続いて以下にWBSについて説明します。

WBS(Work Breakdown Structure)

  • Work(作業)
  • Breakdown(分解)
  • Structure(構造化)

 Work Breakdown Structure(WBS)は、プロジェクトを理解し管理する上で、プロジェクトの各工程を各担当者の作業レベルまで展開し木構造にまとめたものである。PMBOKは、WBSを「プロジェクトチームによって実行される作業の成果物指向の階層的分解」として定義します。WBSの各レベルはさらに定義と詳細を提供するため、WBSは、プロジェクトチームが理解できる管理可能な作業単位にスコープを視覚的に定義します。下図は、4つのレベルが定義されたWBSのサンプルを示しています。

WBS(Work Breakdown Structure)

 WBSの作成方法はプロジェクト(システムの開発)を最上位の成果物として下位の階層をサブ成果物、つまり計画書や要件定義書、設計書、実装等にさらに分解します。プロジェクトチームは、主要な成果物を洗い出し、それらの成果物をより小さなサブ成果物に分割することにより、プロジェクトのWBS構造を作成します。これらのサブ成果物は、担当者一人が割り当てられるまでさらに分解されます。この段階においてサブ成果物の作成に必要な作業パッケージが洗い出され、グループ化(コンセプト決定、メンバー周知はキックオフミーティングのグループのように)されます。作業パッケージは、作業単位を作成するためのタスクまたは「ToDo」のリストを表します。詳細なプロジェクトスケジュールを確認した場合、ワークパッケージの下のタスクは、特定の時間と特定のレベルの作業で完了する必要がある「要素」として認識されます。

 コストの観点においては、これらの作業パッケージは通常、グループ化され、チームに割り当てられる作業となります。これらのチームの工数に対して、特定の成果物を作成するための予算が割り当てられます。そのためプロジェクトの実行工程に加えて作業の進捗によるコストの進捗状況をフォローできます。

Work Breakdown Structureを使用する理由

 WBSには、プロジェクト作業の定義と整理に加えて、多くの利点があります。WBSの各作業内容にまで書き下していれば、プロジェクト全体の作業工数をWBSに基づいて素早く計算できます。時間と担当者のアサインについても同様であり、プロジェクトのスケジュール、担当期間を素早くガントチャート等で作成できます。プロジェクトの実行中に、WBS構造の特定の項目を追跡して、プロジェクトのコストパフォーマンスを特定し、プロジェクト組織の問題と問題領域を特定できます。

 プロジェクトのWBSは、特定のプロジェクトの潜在的なリスクを識別するためにも使用できます。WBSに明確に定義されていないブランチがある場合、スコープ定義が網羅されていないリスクを表します。これらのリスクは、フォローし、プロジェクトの実行時に確認する必要があります。

WBSとガントチャート

WBS作成ガイドライン

WBSを作成するときは、次のガイドラインを考慮してください。

  • 最上位の項目(上記例ではシステムの開発)は最終的な成果物またはプロジェクトを表す
  • サブ成果物(計画書、要件定義書etc)には、ユニットに割り当てられた作業パッケージ(実際の作業内容)が含まれます
  • WBSのすべての要素を同じレベルに定義する必要はありません
  • 作業パッケージは、サブ成果物の作成に必要な作業の作業、期間、およびコストを定義
  • 作業パッケージの期間は10日を超えてはなりません
  • 作業パッケージは、WBS内の他の作業パッケージから独立している必要があります
  • 作業パッケージは一意であり、WBS全体で同じものを複製しないでください

 WBSの作成はチームの努力の結晶であり、プロジェクトの複数の作業インプットの集大成です。効果的な手法は、プロジェクトに関与するさまざまな部門とのブレインストーミングセッションを編成することです。プロジェクトチームは、ホワイトボード、メモカード、付箋メモパッドなどのツールを使用して、主要な成果物、サブ成果物、および特定の作業パッケージを特定することが重要です。付箋を壁にテープで貼り付けて、チームがプロジェクトに関係する主要な成果物と作業パッケージについて議論することで必要な作業や成果物を洗い出すことが可能です。

WBS作成ガイドライン

WBS作成方法

 Work Breakdown Structure(WBS)は、プロジェクトの最上位の成果物を書き下し、詳細レベルのワークパッケージで定義します。すべてのレベルには、成果物の全体的な目標、完成、納品に到達するために作成または達成する必要がある作業等が含まれています。最上位の成果物(レベル1)はプロジェクト全体を表し、下位レベルはプロジェクトをより詳細なサブ成果物またはワークパッケージとなります。

 プロジェクトマネジメントの最初のステップは、WBSを作成することです。このステップにより、プロジェクトを達成するためのプロセスとスケジュールとその後の計画が可能になります。WBSが作成され、最終決定されると、必要なプロセスと各目標を達成するためのスケジュールとコストが決定されます。

 WBSは、計画プロセスの最初の段階で作成されますが、プロジェクトの実行中において各作業項目は一定である必要があります。作業活動のスケジュールは変更され、予算コストと実際のコストは変更されますが、目標と最終成果物の完全な修正がない限り、目標は一定のままです。

 プロジェクトの目標を決定することは、最初の目標または最終成果物から分解可能なため、トップダウンのアプローチに役立ちます。WBSの構築は、最上位の目標であるレベル1から始まり、レベル2以下に続き、最終目標を達成するために詳細レベルで必要とされるサブ成果物を考慮する必要があります。WBSのレベル2は、レベル3に移行する前にも同様にレベル2は必ず作成され、WBS全体が作成されてレビューの準備ができるまで、同じように階層構造を作成していきます。

 プロジェクトの複雑さ、予想される収益、および可視性に対する顧客の要求は、WBSに組み込むレベルの数を決定する際に考慮される要因の1つです。プロジェクトは、WBSのより高いレベルまたはより低いレベルで、さまざまなレベルの管理者(プロジェクトマネージャー、チームリーダ等)によって管理されます。

 プロジェクトの開始後、WBSで作成された計画は実行フェーズ中において、詳細レベルのレベル3まで書き下されていれば、プロジェクトマネージャーに問題領域を特定するための十分な情報を提供することができます。これにより、適切な詳細レベルでプロジェクトの問題点に焦点を当てることができ、プロジェクトマネージャーが作業内容まで管理しなくとも問題把握が可能となります。

 一般に、プロジェクトマネージャーは、特に複雑なプロジェクトの場合、レベル3以下に分類するためにWBSを必要とします。そうすることで、すべてのレベルのリーダーは、それぞれの管理範囲内で綿密に作業内容をチェックできます。WBSの最下位レベルは、「作業パッケージ」で構成され、非常に具体的な成果に取り組んでいる個人の小さなチームの目標を表します。

 WBSの詳細レベルの作業パッケージは、定義可能な成果物等の要素です。これらの要素は、WBSの最上部で定義される最終成果物を最終的に構成します。
 WBSのすべての要素には、達成のためのスケジュールと予算が割り当てられます。目標に対する進捗状況は、プロジェクトの実行期間全体に渡って評価できます。問題領域を特定し、プロセスの変更または追加のリソースを適用して、問題が発生したときに修正できます。
 計画と管理プロセスでは、プロジェクト開始時に目標を慎重に検討し、それらの目標を特定するためのWBSを構築します。

最後に

プロジェクトマネジメントにおいてWBSはプロジェクトの計画、実行、監視において重要なツールとなります。多くの企業において取り入れられていると思いますが、まだ取り入れていないようであれば取り入れてプロジェクト管理のレベルアップを図ってみてください。

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兼業ブロガー。メインは大手製造業システム企画・設計・プロジェクト管理。工場のプロセス制御が主な業務。 得意分野: プロセス制御と統計、機械学習、画像処理、システム技術 保有資格: プロジェクトマネージャー、情報処理安全確保支援士、ネットワークスペシャリスト、応用情報処理、第一種衛生管理者

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