インターネット技術や各種センサー・テクノロジーの進化等を背景に、パソコンやスマートフォンなど従来のインターネット接続端末に加え、家電や自動車、ビルや工場など、世界中の様々なモノがインターネットへつながるIoT時代が到来してきています。
皆さんの身近な様々な業界においてサーバや端末、FA機器、IoT機器等ネットワークに接続する機器は増大しているかと思います。
世界のIoTデバイス数の動向をみると、2017年時点で稼働数が多いのはスマートフォンや通信機器などの「通信機器」でしたが、成熟市場となっており、今後は、相対的に低成長が見込まれます。
今後は、5Gによるコネクテッドカーの普及によりIoT化の進展が見込まれています。「自動車・輸送機器」、デジタルヘルスケアの市場が拡大している「医療」、スマート工場やスマートシティが拡大する「産業用途(工場、インフラ、物流)」などの接続機器数の増加が見込まれます。


そのような現状においてみなさんの周りにも多いのではないかと思いますが、製造業では未だに保守のために各機器の現場に赴いて確認する作業をすることが大勢です。可能な限り遠隔から監視を行い、削減可能な時間=(確認時間+移動時間)×機器数×人数を増やすことが必要です。
このような膨大な機器を管理する方法としてシステム監視を導入することをおすすめします。事務所から膨大な機器の稼働状態、ログ、データ等をWeb画面で監視可能であり、異常、復帰通知(画面、メール等)も対応しています。Web画面のため、出先等でも確認が可能です。
システム監視により先程記載した無駄な時間を大きく削減し、生産性向上を図ることが可能です。今回はNTTデータが制作したオープンソースソフトウェアであるHinemosというツールの構築から監視設定まで複数記事で紹介します。
Hinemosとは
Hinemosの基本機能はオープンソースソフトウェア(OSS)で公開されており、 SNMP、syslog、Hinemos Agent等による監視機能、ジョブ管理機能を備えている統合運用管理機能である。
システム全体の様々なデータを収集し稼働状況の監視や、ジョブの自動実行、収集したデータを基にシステムの将来予想値などを分析でき安定稼働が実現可能である。 監視機能としてはグラフの表示も円グラフ・折れ線グラフ等様々あり、閾値の変更などはGUI・ CLI 画面にて設定可能である。
ジョブ管理機能についてはGUIのジョブネット作成エディタにて設定可能。画面開始遅延・終了遅延も設定可能である。イベントやジョブ実行履歴などから稼働状況レポートを自動出力可能である。上記のような運用管理用のソフトウェアとなります。
Hinemosパッケージ対応OS
Hinemosはマネージャとクライアント、エージャントに機能が分かれており、以下のOSが対応しています。最新上は以下のリンクで確認できます。
Hinemosマネージャ対応OS
基本的に最新のOSは無料で対応しており、古いOS対応版のHinemosマネージャはサブスクリプションでの契約で入手が可能となります。
- Red Hat Enterprise Linux 7 64bit
- CentOS 7 64bit
サブスクリプション
- Red Hat Enterprise Linux 6 64bit
- CentOS 6 64bit
- Windows Server 2012 R2 64bit
- Windows Server 2016 64bit
- Windows Server 2019 64bit
- Amazon Linux 2 2.0.20190115 以降 64bit
Hinemosリッチクライアント対応OS
- Windows 8 32bit 64bit
- Windows 8.1 32bit 64bit
- Windows 10 32bit 64bit
- Windows Server 2008 R2 SP1以降 64bit
- Windows Server 2012 64bit
- Windows Server 2012 R2 64bit
- Windows Server 2016 64bit
- Windows Server 2019 64bit
Hinemos Webクライアントサービス対応OS
基本的に最新のOSは無料で対応しており、古いOS対応版のHinemos Webクライアントサービスはサブスクリプションでの契約で入手が可能となります。
- Red Hat Enterprise Linux 7 64bit
- CentOS 7 64bit
サブスクリプション
- Red Hat Enterprise Linux 6 64bit
- CentOS 6 64bit
- Windows Server 2012 R2 64bit
- Windows Server 2016 64bit
- Windows Server 2019 64bit
- Amazon Linux 2 2.0.20190115 以降 64bit
Hinemosエージェント対応OS
Linux
- Red Hat Enterprise Linux 5 32bit 64bit
- Red Hat Enterprise Linux 6 32bit 64bit
- Red Hat Enterprise Linux 7 64bit
- Red Hat Enterprise Linux 8 64bit
- Oracle Linux 5 32bit 64bit
- Oracle Linux 6 32bit 64bit
- Oracle Linux 7 64bit
- Oracle Linux 8 64bit
- CentOS 5 32bit 64bit
- CentOS 6 32bit 64bit
- CentOS 7 64bit
- CentOS 8 64bit
- Amazon Linux (2014.03 以降) 32bit 64bit
- Amazon Linux 2(2.0.20190115 以降) 64bit
- Ubuntu 16.04LTS 以降 32bit 64bit
- Ubuntu 18.04LTS 以降 64bit
- SUSE Linux Enterprise Server 15,12 64bit
Windows
- Windows 8 32bit 64bit
- Windows 8.1 32bit 64bit
- Windows 10 32bit 64bit
- Windows Server 2008 32bit 64bit
- Windows Server 2008 R2 64bit
- Windows Server 2012 64bit
- Windows Server 2012 R2 64bit
- Windows Server 2016 64bit
- Windows Server 2019 64bit
UNIX(サブスクリプション)
- Solaris 10 (SPARC, x86)
- Solaris 11 (SPARC, x86)
- HP-UX 11i (v2, v3)
- AIX 7.1
- AIX 7.2
Hinemos対応環境の準備
今回は対応OSの中の無料で使用できる「CentOS 7」で環境構築を行います。環境構築はテスト環境を作りたい場合はWindowsの「Hyper-v」の仮想環境に「CentOS 7」をインストールしてテスト環境を構築すると簡単に作れます。
Hyper-v環境の構築(必要な方のみ)
Hyper-Vを適用するためにはWindows10のバージョンが以下である必要があるので注意してください。
- Windows 8 Enterprise
- Windows 8 Professional
- Windows 10 Enterprise
- Windows 10 Professional
- Windows 10 Education
- Windows Server 2008
- Windows Server 2012
- Windows Server 2016
- Windows Server 2019
CentOS 7のインストール
直接インストール、またはHyper-v環境にインストールする場合は以下のリンクの方法でインストール可能です。工場等のオフラインでのインストール方法も記載しています。
CentOS 7へのSNMP設定
HinemosはSNMPでシステム監視を行っており、監視を行うために事前の設定が必要となるので、以下の方法でSNMPの設定を行います。
Hinemosの構築と監視設定方法
Hinemosの構築方法
CentOS 7へのHinemosマネージャ、Web、Agentのインストールを行っていきます。以下のリンクでオンライン、オフラインでのHinemosの環境構築方法を記載しています。
Hinemosでの管理対象追加
Hinemosの導入が完了したので、システム監視を行うための管理対象の追加を行っていく方法を以下に記載しています。
オートサーチやデバイス追加などで監視対象の機器を追加します。監視対象の機器にはSNMPのクライアントやHinemosエージャントを入れることでシステムの状態を把握することが可能となります。
Hinemosでのシステム監視設定
先ほど追加した機器の監視したい情報を設定する方法となります。チャートで監視データを表示したり、現在の状況を把握することが可能となります。
Hinemosでのジョブ実行方法
システムの運用管理を行う際、運行管理や保守管理者が以下のような業務に時間を取られることが発生している場合があります。
・定期的なバックアップ、再起動、ファイル転送等
・不定期に発生するメンテナンス作業
・端末等の構築作業
Hinemosでは上記のような作業を自動で行うことが可能なジョブを構築することが可能です。以下に設定方法について記載しています。
まとめ
システム監視を行えるHinemosの構築方法について説明をしてきました。Hinemosを使うと事務所などで現場の状態を遠隔監視可能となります。サーバやシーケンサ、端末など様々な機器がSNMPに対応しているので、機器の状態監視を行いたいのであれば、Hinemosなどのシステム監視を導入することをおすすめします。
またジョブについても運用保守において定期的に実行するジョブや構築についても自動で可能なため、生産性の向上を図ることが可能なので、利用をおすすめします。