クラウドストレージサービスを運営するBackblaze社が運営しているサーバで使用しているHDDの故障率データをまとめたレポートを毎年公開しています。今年も2013年〜2021年第1四半期(1~3月)までの故障率のデータが公開されました。
今回はBackblaze社のレポートを参考にまだまだデータストレージ用途で需要のあるHDDについての説明と壊れにくいおすすめのメーカーを紹介したいと思います。また今回からブート用途のSSD・HDDの寿命についても追加しています。
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故障しにくいHDDメーカーは?
Backblaze社のデータによると拠点のデータセンターで17万2,256台のHDDを運用しており、テスト用等の337台のHDDを除く17万1,919台がレポートの対象となります。
2013年から2021年第1四半期までの期間における全体の年間平均故障率は1.49%であり、前回の2020年第1四半期までが1.71%だったので、0.2%程度故障率が低下しています。
1年で0.2%の改善なので、年々かなり故障率が低くなってきていることが分かります。
メーカー | モデル | 容量 | 台数 | 使用日数 | 不具合数 | 年間故障率 |
---|---|---|---|---|---|---|
HGST | HMS5C4040ALE640 | 4TB | 3,163 | 13,038,096 | 176 | 0.49% |
HGST | HMS5C4040BLE640 | 4TB | 12,738 | 25,379,491 | 281 | 0.40% |
HGST | HUH728080ALE600 | 8TB | 1,077 | 1,307,411 | 22 | 0.61% |
HGST | HUH721212ALE600 | 12TB | 2,599 | 1,383,379 | 17 | 0.45% |
HGST | HUH721212ALE604 | 12TB | 5,685 | 584,572 | 15 | 0.94% |
HGST | HUH721212ALN604 | 12TB | 10,825 | 7,862,186 | 94 | 0.44% |
Seagate | ST4000DM000 | 4TB | 18,882 | 61,279,111 | 4,179 | 2.49% |
Seagate | ST6000DX000 | 6TB | 886 | 3,305,846 | 85 | 0.94% |
Seagate | ST8000DM002 | 8TB | 9,744 | 16,267,038 | 469 | 1.05% |
Seagate | ST8000NM0055 | 8TB | 14,419 | 19,753,810 | 653 | 1.21% |
Seagate | ST10000NM0086 | 10TB | 1,200 | 1,553,937 | 47 | 1.10% |
Seagate | ST12000NM0007 | 12TB | 13,702 | 34,521,278 | 1,864 | 1.97% |
Seagate | ST12000NM0008 | 12TB | 20,085 | 7,411,082 | 202 | 0.99% |
Seagate | ST12000NM001G | 12TB | 9,029 | 2,000,595 | 43 | 0.78% |
Seagate | ST14000NM001G | 14TB | 5,977 | 992,491 | 26 | 0.96% |
Seagate | ST14000NM0138 | 14TB | 1,675 | 140,941 | 9 | 2.33% |
Seagate | ST16000NM001G | 16TB | 2,459 | 77,340 | 2 | 0.94% |
東芝 | MD04ABA400V | 4TB | 99 | 279,892 | 5 | 0.65% |
東芝 | MG07ACA14TA | 14TB | 27,336 | 6,943,850 | 152 | 0.80% |
東芝 | MG07ACA14TEY | 14TB | 405 | 36,393 | 1 | 1.00% |
東芝 | MG08ACA16TEY | 16TB | 1,014 | 125,034 | - | 0.00% |
WDC | WUH721414ALE6L4 | 14TB | 8,400 | 874,448 | 11 | 0.46% |
WDC | WUH721816ALE6L0 | 16TB | 520 | 4,680 | - | 0.00% |
合計 | 171,919 | 205,122,901 | 8,353 | 1.49% |
出典:Backblaze Drive Stats for Q1 2021
年間平均故障率は以下の計算式で算出されています。
年間平均故障率 = (HDD故障台数 / (ドライブ日数 / 366日)) * 100
故障件数が”0″のモデルは東芝の16TBモデル「MG08ACA16TEY」とWDCの「WUH721816ALE6L0」ですが、東芝とWDCの特定のモデルはまだ稼働日数が少ないですが、それぞれ4.1か月と0.4か月間故障が0という素晴らしいスタートを切ったと言及されています。
全体として故障率が低いメーカーは以下のようになります。
順位 | メーカー | 年間平均故障率(2020) | 年間平均故障率(2021) |
---|---|---|---|
1 | HGST | 0.47% | 0.45% |
2 | WDC | - | 0.46% |
3 | 東芝 | 0.98% | 0.78% |
4 | Seagate | 2.15% | 1.88% |
HGSTは故障率が低いことで有名な日立グローバルストレージテクノロジーズがウェスタン・デジタル配下になり設立された会社です。現在はウェスタン・デジタルにブランドが統一されています。そのため、HGSTとWDCは故障率は0.45%、0.46%とほぼ同程度で、東芝製品に1.5倍近くの差を見せ付けています。
これらはデータ保存用やNAS用途の5400RPM、大容量モデルとなります。OSやアプリケーションを入れるディスクは高速なSSDをおすすめします。
東芝も前回は0.98%だったのですが、0.78%と大きく改善し、なかなかの性能を示しています。東芝、Seagateは6TBで7200rpmのモデルがあるので少し高価ですが、5400rpmより高速でおすすめです。
Seagateは故障率が1.88%と2%近辺んであり、2020年同様に私だと基本的には選びません。NAS用途であればWDCが一番選ばれているかと思うので、何かしらの思いがなければWDCか、東芝あたりを購入しておくことをおすすめします。
HDDの通信速度に関わるスペック
速度に関わるスペックとしては1分間当たりのHDD回転数とインターフェースがあります。
1分間当たりのHDD回転数
HDDの場合、読み書き速度に関わる要素がHDDのディスクの回転数となります。大体5,400rpm、7,200rpm、15,000rpmがありますが、データストレージ用途の場合、15,000rpmは高くて使えないため、5,400rpmか、7,200rpmとなります。
普通のデータストレージとして使う場合は5,400rpmで十分ですが、動画編集などを行う場合は7,200rpmかSSDが推奨されています。
インターフェース
インターフェースとしては大きく分けてSATAとIDEがあります。主流はSATAであり、SATA I〜IIIまでが使用されています。
SATA I(リビジョン1.x)のインターフェースは、別名SATA1.5 Gb/sで帯域幅のスループットは、150MB / sまでとなります。SATA II(リビジョン2.x)のインターフェースは、別名SATA 3 Gb /sで帯域幅のスループットは、300 MB/sまでです。SATA III(リビジョン3.x)のインターフェースは、別名SATA 6 Gb/ sで帯域幅のスループットは、600 MB/sまでとなります。
基本的には現在最新のSATA IIIに対応したHDDを購入することをおすすめします。
ブートドライブでのSSDとHDDの寿命比較
BACKBLAZEでは追加でSSDとHDDのブート用途での使用の場合の寿命比較についても行っています。以下が分析データとなります。
区分 | 台数 | 平均稼働月数 | 使用日数 | 不具合数 | 年間故障率 |
---|---|---|---|---|---|
SSD合計 | 1,518 | 12.66 | 450,503 | 8 | 0.65% |
HDD合計 | 1,669 | 49.63 | 3,375,805 | 559 | 6.04% |
出典:Backblaze Drive Stats for Q1 2021
上記の表から明らかなポイントの1つは、ブートドライブとしての使用では、SSDドライブがHDDドライブよりも故障する頻度が少ないということが分かります。
SSDが0.65%に対して、HDDは6.04%故障しています。やはり読み書きの回数が多いことはHDDの故障に悪影響を与えているようです。
やはりブート用途のドライブとしてはSSDをおすすめしたいと思います。
ただし、このデータではドライブ年齢が無視されているので、より長期のデータを注視していくことは重要かと思います。
まとめ
2020年に続き、2021年度もデータストレージ用途に故障率の低いHDDを紹介しました。やはり日立のHGSTは昔から故障率が低くて有名だったので、その流れを組むWDCを使っていくことをおすすめします。
データストレージ用途であれば、回転数は少なくて済むので5,400rpmのモデルで問題ありませんが、OSなどを入れるドライブはSSDにしておくことをおすすめします。
ブートドライブ用途のSSD、HDD故障率のデータを見てもやはりSSDがブート用途では(より中長期でみる必要はありますが、)故障しにくそうなデータとなっています。
このデータを参考に故障率の低いHDD、SSDを利用してみてください。